寺務雑記
■2020年10月01日(木)
「大師堂」の前にある「掲示板」を更新しました。今月は中秋の句です。
次世代を担う若い人たちに、俳句・短歌など日本語のふくよかな短文文化をお勧めします。心と頭の「糖尿病」といわれる「SNS短文依存症」の良薬です。
マスクとり 唇あでに 生れけり | 吉屋信子 |
マスクして 我と汝で ありしかな | 高浜虚子 |
赤とんぼ 飛ぶや平家の ちりぢりに こほろぎの 仏壇の中に 鳴き出しぬ | 正岡子規 |
町中や 列を正して 赤とんぼ | 小林一茶 |
染めあへぬ 尾のゆかしさよ 赤とんぼ 生きて仰ぐ 空の高さよ 赤とんぼ こほろぎや 相如が絃の きるる時 秋もはや 其の蜩(ひぐらし)の 命かな | 与謝蕪村 |
肩に来て 人なつかしや 赤とんぼ | 夏目漱石 |
いつも一人で 赤とんぼ こほろぎが わたしのたべもの たべた | 種田山頭火 |
虫の音の 哀調の調べ 秋は来ぬ アキアカネ 頭に止まる 無邪気かな 二週間 おくれてやっと 曼珠沙華 彼岸花 彼岸に咲かず 境内(にわ)さびし マスクして 経読むつらさ 情けなさ | 住職 |
スマホ・ラインのやりとりも俳句や和歌でやったらどうでしょう。殺風景で軽薄短小なコトバでなく、ふくよかで美しい日本語の短文が飛び交うことを願っています。