蔵の街とちぎ 大毘盧遮那殿 満福寺(満福密寺)

閑話休題

「裏金議員」への集団リンチ選挙

令和6年11月01日
あたかも裏金追及のような衆議院議員選挙が行われ、「裏金問題」の火元である自民党が大敗を喫し、何だかよくわからない理由で立民党・国民党が大幅に議席数を伸ばしました。テレビでは相変わらず、いつもの政治評論家やアナリストがわかったような解説をしていますが、私の目には国民有権者が政治とお金の問題にストレスを感じ、感情的になって、「裏金議員」と言われた候補者と自民党に見さかいなく集団リンチを行った選挙のように見えます。この付和雷同的国民ファッショによって政権は弱体化し、政局は不安定化し、党利党略の政争が激化し、日本は政治的にも経済的にもますます国際社会で信用度と発言力を失っていくでしょう。
ところで頭を冷やしてよくよく考えますと、「裏金議員」と言われる候補者の一人一人、どこが悪かったのでしょう。「裏金議員」と言われる候補者がいる各選挙区の有権者は、どこまで「裏金問題」の真相・事実関係を知った上で投票をしたのでしょう。ひとの言うこと、テレビの言うこと、ネット情報の程度で、「裏金議員」と言われる候補者を「悪者」「落選させろ」と思ってはいなかったでしょうか。世の中の風潮に付和雷同して、今まで支持していた「裏金議員」と自民党にお灸をすえ、懲らしめはしなかったでしょうか。私にはこの付和雷同が国民ファッショ・集団リンチに見えました。
もちろん、パーティー券の売上金のキックバックを政治資金として適正に会計処理しなかったことは責められるべきことです。しかし、そもそもこのお金は、「裏金議員」個人が集めたパーティー券売上金で、国民の税金すなわち公金ではありません。たまたまノルマを超えた分が派閥の事務局からキックバックされ、しかも政治資金報告書に記載しなくてもいいとも言われたもので、公金横領ではありません。「裏金議員」と言われる人をかばうわけではありませんが、世論とか民意という付和雷同は、今回の「裏金問題」の一つ一つの真相・事実関係に真摯に向き合ったのでしょうか。一方的・感情的な国民による集団リンチではなかったでしょうか。検察から起訴されなかった法的に無実の人まで「裏金議員」のレッテルをはられ「悪者」扱いされたのです。
折しも、SNSでの有名人などへの人身口撃が過激化して社会問題になっている時代。政治家への集団リンチのようなバッシングに遠慮会釈ありません。「裏金議員」というレッテルをはられた候補者は、説明・釈明をしたくても聞く耳はなく、誰もが真相・事実関係を聞いてはくれず、法的に無実なのに非難され、叩かれ、白い目で見られ、民主主義の根幹たる選挙どころではありません。国民世論という付和雷同。日本人の国民性。モノゴトの真相や事実関係も確かめもせず、ひとの言うこと、テレビの言うこと、ネット情報をそのまま信じ込み、それに同調して反対の目でモノゴトを見ない、批判的に考えない、付和雷同で票が動く、これほんとうの民主主義でしょうか。日本の選挙はほんとうに民主主義の根幹でしょうか。