サイバー戦争の時代の政党の賞味期限
令和5年06月01日
大阪・兵庫を本拠地とする日本維新の会が、ここのところ選挙のたびに首長・地方議員・国会議員の数を増やし、その勢力や支持率を伸ばしている一方、支持母体である宗教団体の確固たる支援を受け長いこと安定政党だった公明党に凋落の傾向が見えはじめています。衆議院小選挙区の区割り変更(10増10減)に伴う自民党との選挙区調整が今、東京都内の選挙区で難航していますが、その背景には関西に拠点をもつ公明党がその関西で日本維新の会に追い上げられ、最近の国政選挙や地方選挙でも苦戦を強いられ、その分東京で議席を増やしたいということではないか、との見方が政治評論家の間で語られています。
私の目には、自民党以外の政党には、時代とともに変化する有権者の気ままな政治的要請によって浮沈し、いつの間にか役割を終え賞味期限が切れる運命があるように見えます。戦後日本の労働者階級や社会的弱者の代弁者だった日本社会党(現、社民党)も今や風前の灯火となり、かつて民間労組の代弁者として一定の勢力を保った民社党も姿を消し、田中金権政治を批判して自民党を飛び出した河野洋平グループの新自由クラブもあっという間に分裂霧散し、二大政党論をかかげて自民党を割って出た小沢一郎のグループも今はちりぢりになり、日本新党もさきがけも旧民主党に生き残りをかけざるを得ませんでした。その旧民主党も一時期政権を担いましたが、小池新党とのどさくさに巻き込まれて分裂。現在の民主党は野党第一党ながら支持率が低迷していて、これまたいつ賞味期限が切れて消滅するかわからない現状です。政党にも旬があり、旬を過ぎると支持を失うのです。
私の目には、自民党以外の政党には、時代とともに変化する有権者の気ままな政治的要請によって浮沈し、いつの間にか役割を終え賞味期限が切れる運命があるように見えます。戦後日本の労働者階級や社会的弱者の代弁者だった日本社会党(現、社民党)も今や風前の灯火となり、かつて民間労組の代弁者として一定の勢力を保った民社党も姿を消し、田中金権政治を批判して自民党を飛び出した河野洋平グループの新自由クラブもあっという間に分裂霧散し、二大政党論をかかげて自民党を割って出た小沢一郎のグループも今はちりぢりになり、日本新党もさきがけも旧民主党に生き残りをかけざるを得ませんでした。その旧民主党も一時期政権を担いましたが、小池新党とのどさくさに巻き込まれて分裂。現在の民主党は野党第一党ながら支持率が低迷していて、これまたいつ賞味期限が切れて消滅するかわからない現状です。政党にも旬があり、旬を過ぎると支持を失うのです。
公明党もどうやら旬を過ぎ、ここにきて賞味期限を迎えたようです。公明党は、戦後の経済成長期に、かならずしも経済成長の恩恵に浴せなかった層に信者を獲得してマンモス宗教団体になった支持母体を背景に、仏教で言う「中道」、思想的に右でもなく左でもないリベラルな政治スタンスで、主として中産階級から低所得層の宗教団体信者を票田として一定の勢力を国政や地方政治において保持してきましたが、昭和三十九年(一九六四)の結党以来六十年にして、支持者(信者)の高齢化などにより集票力にかげりが見えはじめ、昨年の参議院選挙の比例区では一昨年の衆議院選挙に比べ約九十三万票減らしました。組織の弱体化が原因と言われますが、それよりも、上記のように、公明党は旬を過ぎて賞味期限を迎えている、すなわち公明党がその政治的な役割を終えつつある、私にはそう思えてなりません。
思えば皮肉なもので、公明党は穏健な中道リベラル政党として政権の一翼を担い、生活者の立場に立ち、日本の中間層から底辺層の生活者に向けた福祉政策を得意としてきたのですが、その政策に一定の成果が出て支持者の要望に応えてきたところ、支持者は次第にそれを当たり前とし、それに慣れて安住し、高齢化して党勢拡大の意欲も薄れ、選挙になってもかつてのように動けない、そうした悪循環に陥っているのが正直なところではないかと思います。政党の支持者が一時は急拡大しても時代とともに支持者が減っていく、いくつもの政党が浮んでは消え、それを避けられませんでした。国民の一部の階層を支持者とし、その代弁者である階級政党の宿命です。
思えば皮肉なもので、公明党は穏健な中道リベラル政党として政権の一翼を担い、生活者の立場に立ち、日本の中間層から底辺層の生活者に向けた福祉政策を得意としてきたのですが、その政策に一定の成果が出て支持者の要望に応えてきたところ、支持者は次第にそれを当たり前とし、それに慣れて安住し、高齢化して党勢拡大の意欲も薄れ、選挙になってもかつてのように動けない、そうした悪循環に陥っているのが正直なところではないかと思います。政党の支持者が一時は急拡大しても時代とともに支持者が減っていく、いくつもの政党が浮んでは消え、それを避けられませんでした。国民の一部の階層を支持者とし、その代弁者である階級政党の宿命です。
日本の経済力が国際競争力を失くして失速しているのと時を同じくして、日本の政治にもおくれがめだちはじめています。敢えて一つ言えば日本の政治・経済・防衛におけるサイバーセキュリティの脆弱性、言い換えれば国際的な対ハッカー対応能力です。
先日の「プライムニュース」(フジテレビ)に初出演した増田幸美さん(Proofpoint、チーフエバンジェリスト)が、現在世界で最も高度だとされるロシアのハッカー集団の手口を解説してみせました。具体的なことで私にわかったことは、例えば今国会などで話題になっている敵基地攻撃能力で言えば、敵国のミサイルが飛べないようにサイバー攻撃する時代で、ミサイルやドローンを飛ばし、敵国のミサイル基地を爆撃するという議論はもう時代おくれだということが、今のウクライナ戦争で行われているロシア対NATOのサイバー戦の現実からわかりました。
この国家的なサイバーセキュリティの対策がG7のなかでめだっておくれているのが日本だとすると、政権を長年担う自民党のみならず、同じ政権政党の公明党にもサイバーによる防衛政策は荷が重い、公明党はそこまでの政治的役割は担えなかった、サイバー防衛という時代の要請に応えられなかった、すなわち政党としての賞味期限にきている、ということになります。おそらく公明党に自民党の佐藤正久・小野寺五典・中谷元・長島昭久のような米軍幹部とも重要な話ができる人材は育っていないのでしょう。中国の軍事的いやがらせが続き、憲法改正までが政治日程になった時、公明党という穏健リベラル・生活者福祉の政党もサイバー防衛問題で正念場を迎えることになります。その時まで政権政党でいられるかどうか、今のままでは日本維新の会に取って代わられているかもしれません。
先日の「プライムニュース」(フジテレビ)に初出演した増田幸美さん(Proofpoint、チーフエバンジェリスト)が、現在世界で最も高度だとされるロシアのハッカー集団の手口を解説してみせました。具体的なことで私にわかったことは、例えば今国会などで話題になっている敵基地攻撃能力で言えば、敵国のミサイルが飛べないようにサイバー攻撃する時代で、ミサイルやドローンを飛ばし、敵国のミサイル基地を爆撃するという議論はもう時代おくれだということが、今のウクライナ戦争で行われているロシア対NATOのサイバー戦の現実からわかりました。
この国家的なサイバーセキュリティの対策がG7のなかでめだっておくれているのが日本だとすると、政権を長年担う自民党のみならず、同じ政権政党の公明党にもサイバーによる防衛政策は荷が重い、公明党はそこまでの政治的役割は担えなかった、サイバー防衛という時代の要請に応えられなかった、すなわち政党としての賞味期限にきている、ということになります。おそらく公明党に自民党の佐藤正久・小野寺五典・中谷元・長島昭久のような米軍幹部とも重要な話ができる人材は育っていないのでしょう。中国の軍事的いやがらせが続き、憲法改正までが政治日程になった時、公明党という穏健リベラル・生活者福祉の政党もサイバー防衛問題で正念場を迎えることになります。その時まで政権政党でいられるかどうか、今のままでは日本維新の会に取って代わられているかもしれません。