蔵の街とちぎ 大毘盧遮那殿 満福寺(満福密寺)

閑話休題

独裁の抬頭

令和4年12月01日
今年は、年当初のコロナ感染まん延防止等重点措置にはじまり、二月にはロシア軍によるウクライナ軍事侵攻、三月には東日本大震災十一年目での宮城・福島の震度6強地震、四月には知床半島沖のオホーツク海で観光船の沈没事故、円の急落、五月には沖縄復帰五十年、六月にイギリスのエリザベス女王在位七十年、七月に安倍元総理が銃弾に斃れ、東京オリンピック組織委員会の高橋元理事による五輪汚職疑惑、八月に安倍元総理はじめ自民党国会議員・地方議員・首長と元統一教会との癒着疑惑、ウクライナ侵攻半年、ペロシアメリカ下院議長の台湾訪問で台湾周辺が緊張、九月に安倍元総理の国葬問題でひともめ、岸田内閣の支持率低下、エリザベス女王死去、十月に岸田内閣の閣僚更迭がはじまり、ウクライナは泥沼、ソウルでハロウィン雑踏事故で死者多数、十一月には日中国交回復五十年、サッカーのワールドカップがはじまり、強豪のドイツとスペインを破り予選リーグを突破、十二月に旧統一教会被害者救済の法案が可決、今年の流行語大賞が「村神様」(ヤクルトスワローズの村上選手)に。
この間、元総理の海部俊樹(以下敬称略)、元都知事・衆議院議員で作家の石原慎太郎、歌手で俳優の西郷輝彦、往年の映画スター宝田明、漫画家の藤子不二雄、お笑いタレントの上島竜兵、元ソニー会長の出井伸之、元総理の安倍晋三、女優の島田陽子、ファッションデザイナーの三宅一生・森英恵、京セラ創業者の稲森和夫、元ソ連大統領のゴルバチョフ、エリザベス英女王、落語家の三遊亭圓楽、俳優の古谷一行、元参議院議員でプロレスラーのアントニオ猪木、お笑いタレントの中本工事らが惜しまれつつ黄泉の人となった。
以上、今年の出来事の概括であるが、コロナ変種と皇室の不祥事とウクライナ戦争と安倍元総理の悲運と円安と旧統一教会問題と物価高騰の暗雲が垂れ込めた一年だった。ことに、私の目には、いわゆる発展途上国に独裁者と独裁体制による強権圧政が目立った。ロシア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、アフガニスタン、ベラルーシ、エリトリア、カメルーン、チャド、赤道ギニア、ルワンダ、スーダン、イラン、シリア、キューバ、ベネズエラ、カンボジア、北朝鮮、中国など、地球上の約七十%の国が独裁的強権圧政国家だと識者は言う。二十世紀に社会主義革命が行われた国は一党独裁・独裁者崇拝の強権国家となり、人民共和国・民主主義共和国とは名ばかりで主権在民にはほど遠い。ロシアはまた独裁強権の国にUターンし、北朝鮮・中国とともに日本の西側を支配し、北方領土を返すどころか着々と軍事的支配を強め、虎視眈々と北海道を狙っている。南の海では中国海警局の艦船が重武装して連日尖閣諸島の海域で領海侵犯を続け、こちらも虎視眈々と沖縄本島を含む南西諸島をねらっている。北朝鮮はアメリカに届くICBMの精度を高め、日本をあざ笑うように、日本の上空を越える軌道で発射実験をくり返している。ロシアと中国は独裁者が核のボタンを手にし、北朝鮮も同様になる日が近い。
一方で、独裁国家で何が起きているか、ロシア・北朝鮮・中国を見れば一目瞭然で、その人権無視・表現の不自由・不当な身柄拘束はこれが二十一世紀の国かと疑いたくなる。
人類は進化を遂げ、十八世紀より十九世紀、十九世紀より二十世紀、二十世紀よりも二十一世紀と、また資本主義よりも社会主義と、次第に進歩するはずだった。しかし人類は進化どころかむしろ劣化しはじめている。ロシア・中国・北朝鮮にかぎらず、独裁国家を見ていると人間的な知性の劣化を思う。往昔の日本は中国大陸や朝鮮半島から先進的な文明を受容してそれに倣った。中国も朝鮮もかつては日本の模範の国だった。しかし、来年も日本は彼らに敵対視され、難しいかじ取りを迫られるだろう。日本の西側はいつになったら仏教の言う「西方極楽浄土」になるのだろう。